株 fx まとめ 初心者 体験談

名言?

もしかして自分ならできるかも
突然、彼の頭の中に声が響いた。
それはとても魅惑的な悪魔の声。
いやいや、待てよ。落ち着くんだ。
今までどんなベテランでもほとんどが退場していったんだぞ、そう簡単に儲かるわけがない。
慌てて甘美な誘惑の声を振り払おうとする。
だが得体の知れない熱い感情が胸の奥底から湧き上がってくるのを感じていた。
その感情に身を任せては取り返しのつかないことになる。
だが悪魔はさらにささやき続ける。
でも、もし儲けることができたとしたら
その言葉で彼の中の決定的な何かが崩壊した。
もう溢れ出る感情を抑える術はなかった。

 

そうだ……。相場で儲けて自由に生活していこう……。
その能力が自分にはある。自分なら稼げる。
そうだ、そうじゃないか……!
自分は、こんな惨めな人生を送るために生まれてきたはずはないんだ!

 

彼は自分の理性が崩壊した音を人生の歯車が噛み合った音だと錯覚した。

 

ああ、やっと……やっと出会えた!一生をかけるべき何かに!
一生を費やしても、人生のすべてを投げうってでも挑むべきことに!

 

 

そして人生の転落がはじまった。
それからの彼は、FXで儲けることだけが生きがいとなり、それ以外の物事について、一切無関心となっていった。
当然、仕事も手に付かず、いつも上の空。
その結果、それまでさほどうまく行っていなかった人生がますます悪化していくのだった。

 

だが彼は相場に関わったせいで、そんな状況になりながらも、相場で儲けられさえすればすべてが解決するんだ
としてますます研究にのめりこんでいく。
いつしか周りからは変人として扱われ彼をまともに相手にする人間はいなくなっていった。
オレがFXで億万長者になったときのおまえらの顔が見ものだ
そんな捨て台詞とともに職場を去り貧困の生活へと落ちていく。

 

だがそれでも彼は一心不乱に研究に取り組み続け3年という時を費やしついに聖杯と呼ばれるものにたどりついたのだった!
彼はその聖杯を完璧なものとして仕上げトレードしようとする。

 

興奮で眠れぬ夜をいくつも数える。
だが何週間もトレードし続けても利益を得られるどころか損ばかり積み重ねていった。
ば、ばかな!なんだ、これは!
男は落胆以上に怒りを覚えた。
その目にはかつての知性的な光はもう宿ってはいなかった。
このような男の話はFXにかぎった話ではなく、昔からよくあったりする。

 

もうすでに、多くのトレーダーたちが長い時間をかけて研究を行い、
「儲かる見込みはない」とすでに決論がついている手法や理論を取り上げては、
まったく見当違いの方向から、それを「くつがえそうとする」人々。
もしくは、一時期しか通用しない手法を探し出してはこれが聖杯と言い張る人々。

 

彼らはいったい何をやっているのだろうか?
なぜそんな無謀で非生産的なことに人生を費やしているのだろうか?
彼らは決してブームに乗って始めブームが去るともにやめてしまうような軽薄な挑戦者たちとはわけが違う。

 

「もういい歳した中年男性である」
「高学歴だが低収入」
「自分を優れた人間だと思いたがっているが周りからはまったく認められていない」

 

 

そんな彼らが自身の不遇を打破し、閉塞した人生に風穴を開けるには
儲かるのは一部分であると言われる相場に立ち向かいそこで成果をあげるよりほかにないのだ!

 

彼らは復讐しなくてはならない取り戻さなければならない。
自分をあざ笑った連中に目にモノ見せてやらなくてはならない。
彼らが味わった屈辱の痛みに見合うものはもはや普通の成功では許されない。
もちろん、それは確かに、身の程知らずの馬鹿げた行為である。

 

だが誰だってよほど幸運でもないかぎり自分の現状に不満のひとつぐらいはあるだろう。
社会では自分の得意とする分野、自分の望む分野を必ずしも活躍の場にできるとは限らない。
むしろ苦手とする分野それほど興味のない分野を仕事だからと割り切り妥協しながら一生を過ごす人々の方が大半だろう。

 

彼だってそういう人々と同様、不遇な状況を打破することを願い、リスクは覚悟でそんな無謀な道を選択したのではないだろうか。
そんな彼がいまさら後戻りをすることなどできない。できるわけがない。
いまさら、やっぱり自分には相場では活躍できませんでした、なんてことが許されるはずがない。

 

もはや彼の魂は相場で勝つことでしか救われない!
もしできなかったとしたらいままでの自分の人生はなんだったというのか。
費やしてきた年数と数千万というカネはなんだったというのか。
このまま終わっていいはずがない。
周りから変人として疎まれ蔑まれてきた人生、それが本当にそういう人生のまま終わってしまう。
そんな救いがたいことがあっていいはずがない!
だから、男は費やす。さらに費やし続ける。そして何年もの時間が過ぎ去る。
それでも、男の願いは叶うことはなくついには老人となり、病に倒れ、医者からもう長くないと告げられる……。

 

こうして男は死の寸前まで、相場での利益を追い求め、
そして何ひとつ得ることなく
――死ぬ

 

彼は魅入られてしまったのだ。悪魔に。
相場の世界に潜む悪魔に。

 

そいつは人々の好奇心を刺激ししばしば人々を魅了し狂わせ数多く人間の人生を飲み込んできた。
FXはそのなかでも、もっとも魅力的で恐ろしく強大な力を持つ悪魔である。
今日も悪魔は笛を吹き人々を魅了しては一人また一人と列に加えてゆく。

 

集まってくるのは心に傷を持ち不遇の人生を生きる人々。
たとえば、高学歴でありながら、思うような職に就けなかったもの。
たとえば、勉強は得意だが人付き合いが苦手で職場でいじめられ続けたもの。
たとえば、大学に残ったが、政治的手腕がないため役職につけず大学から放り出されたもの。

 

甘美な笛の音に誘われ次から次へとそのパレードに加わっていく。
そのパレードが向かう先は絶望という名の断崖……。

 

早く気がつかなければまっさかさま。
なのに、楽しげな笛の音に惑わされその救いのない結末に誰も気がつかない。

 

それでも、悪魔は不満だった。
なぜなら、そのパレードに参加している人々はみな一様に幸せそうだったからだ。
誰もが、「自分こそは相場で勝てる」と信じ込んでいた。
自分が成功した姿を想像してはニヤニヤとし崖下に落ちる最後の一歩を踏み出すその瞬間までとても楽しそうに歩いている。

 

悪魔は容赦しない。絶対に容赦しない。彼らが絶望という名の諦観を味わうまで。

スポンサードリンク